一人親方の「法人成り」ベストなタイミングはいつ?メリット・注意点を税理士が解説
一人親方の「法人成り」ベストなタイミングはいつ?メリット・注意点を税理士が解説
こんにちは。香川県高松市の「もり税理士事務所」です。
一人親方が会社を設立すること(=法人成り)には、税金面や採用面、仕事の受注面で大きなメリットがある一方、タイミングや初期設定を間違えると逆に負担が増えてしまうこともあります。
今回は、一人親方が法人成りを検討すべき「3つのタイミング」と、知っておきたい「メリット・注意点」について解説します。
1. 一人親方が法人成りを考えるべき「3つのタイミング」
次の3つのうちどれか1つでも当てはまったら、法人化を検討してみても良いでしょう。
① 売上や利益が増えて、個人の税金が重いと感じたとき
個人事業主の場合、利益(売上から経費を引いた残り)が増えれば増えるほど、所得税の税率が段階的に高くなる仕組み(累進税率)になっています。
「しっかり稼げるようになって現場も忙しいのに、税金を払ったら手元に全然お金が残らない…」
そう感じ始めたら、法人化のサインです。会社組織にして「法人の税率」を適用し、自分に「役員報酬(お給料)」を支払う形にした方が、個人の高い税率を抑えられ、世帯全体で残るキャッシュを増やせる可能性が高くなります。
② 従業員(職人さん)を雇って、本格的に組織化したいとき
「若い職人を採用して育てたい」「現場の数を増やして事業を大きくしたい」と考えたときも、法人成りの絶好のタイミングです。
ハローワークなどの求人を利用する際、個人事業主よりも「株式会社」や「合同会社」といった法人名義の方が、求職者からの信頼度が圧倒的に高くなります。
良い人材を確保し、組織としてチームを強くしていくなら、法人の看板が強力な武器になります。
③ 元請け業者から法人化や社会保険加入を求められたとき
元請けから、「社会保険の加入状況はどうなってる?」「今後のために、そろそろ法人化も考えてみたらどう?」などの声をかけられるケースもあります。
これは、建設業界全体で「働く環境をより良くしよう」という動き(社会保険未加入対策など)が進んでいるためです。
元請けとの信頼関係を大切にし、今後も長く付き合っていくための「一歩先を見据えた準備」として、法人化を検討してみるのも良いでしょう。
2. 一人親方が法人化する4つのメリット
タイミングが合ったところで法人化をすると、次のようなメリットを得られます。
① 社会的信用が上がり、新規の仕事を受注しやすくなる
名刺や契約書が法人名になることで信用力が上がり、元請けからの信頼はもちろん、融資なども有利になります。
② 役員報酬にして「給与所得控除」を使える
自分の給料(役員報酬)を会社の経費にしつつ、個人側でも「給与所得控除(サラリーマンの概算経費のようなもの)」という非課税枠が使えるため、個人の税金が下がります。
③ 家族への給与を経費にしやすくなる
個人事業の専従者給与よりも条件が緩くなり、事務や現場手伝いをしてくれる家族に適切な役員報酬・給与を支払いやすくなります。
④ 生命保険や日当など、経費の幅が広がる
会社契約の生命保険や、出張時の「役員出張日当」を活用することで、節税しながら手元にキャッシュを残すスキームが使えるようになります。
3. 法人化のデメリット
もちろん、メリットだけではありません。事前にしっかり理解しておきたい注意点もあります。
① 赤字でも年間約8万円の税金(均等割)がかかる
法人になると、たとえ利益がゼロや赤字の年であっても、地方税の「均等割(年間約8万円)」を必ず支払う必要があります。
② 事務の手間が増え、法人の決算が必要になる
個人の確定申告に比べて法人の決算は複雑になるため、税理士のサポートがほぼ必須となります。
4. 「市町村国保」「建設国保」「協会けんぽ」どれが一番お得?
一番慎重に考えたいのが「社会保険」です。
法人化すると、役員1人だけの会社であっても健康保険と厚生年金への加入が法律で義務付けられます。また、職人さんを雇用する場合も社会保険への加入が必要になります。
「じゃあ今入っている『建設国保』は辞めて、高い『協会けんぽ(通常の健康保険)』に入り直さないといけないの?」と思われるかもしれませんが、実はここに建設業特有の選択肢があります。
一定の手続き(適用除外申請)を期限内に行うことで、【建設国保】に入ったまま【厚生年金】にだけ加入するという組み合わせを選ぶことができるのです。(※このルールを使うには、個人事業主のうちに建設国保に入っておく必要があるなど、重要な要件があります。)
では、どちらが安くなるかというと、「役員報酬の額」や「扶養家族の人数」によって異なるので、法人化する前の「事前のシミュレーション」が欠かせません。
建設国保:収入に関わらず、保険料が「毎月一律(定額)」のケースが多い。ただし、「家族(扶養)1人につき〇千円」と人数分だけ保険料が上乗せされる。
協会けんぽ:収入(役員報酬)に応じて保険料が高くなる。ただし、「何人扶養家族(子供など)がいても保険料は一律」。
つまり、
「利益が高く、独身または家族が少ない人」 ⇒ 建設国保のままの方が有利になることが多い
「役員報酬を低めに抑えて、養う家族が多い人」 ⇒ 建設国保継続 or 協会けんぽに切替 のどちらが有利になるか?シミュレーションが必要
5. 最後に「法人成りで迷ったら一度シミュレーションを」
一人親方の法人成りは、「税金がどれくらい変わるか」「社会保険料を含めて、最終的に手元のキャッシュがいくら増えるか」をトータルで計算しておくことが何より重要です。
時期や仕組みを間違えなければ、数百万円以上のコストメリットが出ることも珍しくありません。
「自分の今の状況で会社にしたらどうなる?」
「建設国保のままがいいのかな?」
といった疑問や不安があれば、まずは一度シミュレーションをしてみることをおすすめします。
当事務所では、建設業一人親方の法人成りや今後の事業運営に関するご相談をお受けしております。
気になることや迷っていることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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