税理士試験を振り返る(序盤戦)
香川県高松市の税理士、森です。
今回は、自身の税理士試験の結果について振り返ってみたいと思います。
税理士試験受験生の方やこれから受験を考えている方向けの内容となります。
試験制度の概要
税理士試験は科目合格制を採用していて、全11科目中、会計2科目+税法3科目の計5科目に合格するとクリアとなります。
一度合格した科目はずっと有効なので、社会人でも挑戦しやすい試験です。
税理士試験の戦績
私の戦績です。
R2 簿記論○ 財務諸表論○
R3 消費税法○
R4 法人税法○
R5 相続税法×
R6 相続税法○
受験専念期間は無く、仕事をしながらの挑戦でした。
ただ、基本的に定時上がり&有休も取りやすい職場だったので、受験環境は良かったと思います。
受験1年目の科目選択
1年目の受験科目に選択したのは、簿記論と財務諸表論です。
この2科目は登竜門的な位置付けらしく、最初の受験科目として選択する人が多いそうです。
ということで、あまり深く考えずに簿記論と財務諸表論から受けてみることにしました。
勉強開始時の簿記レベル
20代の頃に日商3級は取っていましたが、内容は完全に忘れていたので、ほぼ初学者からのスタートでした。
日商2級を先に取った方がいいという意見もありますが、いきなり簿財から始めても問題ないと思います。
予備校か独学か
予備校に通うか迷いましたが、節約のために完全独学でチャレンジすることにしました。
また、大学受験も公務員試験も完全独学で乗り切ってきたので、今回も大丈夫だろうという自信がありました。
受験戦略
勉強開始が5月だったので、本試験まで1年と3か月です。
まずは簿記論の学習からスタートして、財務諸表論は後回しにする作戦でいくことにしました。
年内はひたすら簿記論の計算問題を繰り返します。そして、年明けから財務諸表論の学習をスタート。
財務諸表論の計算問題はほとんど簿記論と被っているので、簿記論から先に仕上げるのが効率的です。
また、財務諸表論の理論のボリュームはそこまで多くないので、年明けからスタートしても十分間に合います。
令和2年度本試験(簿記論)
本試験は、過去問や問題集と比べると簡単な問題で、気持ちよく解くことができました。
簿記論は年によって問題の難易度の差が激しい科目なので、ラッキーでした。
自己採点でもボーダーを余裕で超えていたので、合格を確信。あとは発表を待つのみです。
令和2年度本試験(財務諸表論)
本番でとんでもないやらかしをしてしまいました。
試験終了時間を勘違いしてしまったのです。
本来は12:30~14:30の試験時間2時間のところを、14:00までの1時間30分だと勘違いしてしまいました。
試験中、「こんなん絶対時間足りんやんけ」と終始焦っていました。
なんとか猛スピードで最後まで解きましたが、内容はボロボロ。
そして時刻は14時になりますが、もちろん試験終了のアナウンスはされません。
ここでやらかしに気づきますが、時すでに遅し。ボロボロの答案を見ながら、半泣きで見直しを試みます。
しかし、意気消沈していて問題に向き合う気力が残っていません。そして、悟ります。
「まぁ、別にええか。」
大やらかしはありましたが、自己採点はボーダーを超えていました。
ただ、Aランク問題のケアレスミスが多かったので、合格発表まで怯えながら過ごすことになります。
合格発表
結果は、ダブル合格でした。
心配していた財務諸表論も合格していたので、嬉しかったです。
使用教材
簿記論と財務諸表論で使用した教材を紹介します。
独学でのチャレンジを検討されている方は、参考にしてみてください。
簿記論
① みんなが欲しかった! 簿記論の教科書&問題集(TAC出版)
最初のとっかかりに。1回やれば十分です。
② 簿記論 個別計算問題集(TAC出版)
最重要教材です。こいつをひたすら繰り返しましょう。
③ 簿記論 総合計算問題集 基礎編(TAC出版)
④ 簿記論 総合計算問題集 応用編(TAC出版)
こちらも重要です。最低でも3回は解きたいところです。
⑤ 簿記論 過去問題集(TAC出版)
本試験の過去問です。本試験のレベルを把握するために、一通り基礎ができた段階で解いてみることをオススメします。
解いてみるとボコボコにされると思いますが、気にしないことです。本試験のレベル感を押さえた上で、問題集に戻ってひたすら個別計算を繰り返しましょう。
⑥ 簿記論 個別問題の解き方(TAC出版)
⑦ 簿記論 総合問題の解き方(TAC出版)
①~⑤をやっても時間に余裕がある場合はやりましょう。
財務諸表論
① みんなが欲しかった! 財務諸表論の教科書&問題集セット(TAC出版)
理論部分を意識して使うといいと思います。
② 財務諸表論 個別計算問題集(TAC出版)
③ 財務諸表論 総合計算問題集 基礎編(TAC出版)
④ 財務諸表論 総合計算問題集 応用編(TAC出版)
それぞれ1~2回は解いておきたいところです。
ただ、財務諸表論の計算は簿記論と比べると簡単なので、理論を優先してやりましょう。
⑤ 財務諸表論 理論問題集 基礎編(TAC出版)
⑥ 財務諸表論 理論問題集 応用編(TAC出版)
重要教材です。財務諸表論は、計算は簿記論と被っているところが多いので、理論を中心に学習するといいと思います。
⑦ 財務諸表論 過去問題集(TAC出版)
本試験の過去問です。簿記論と同様、本試験のレベルを把握するために、一通り基礎ができた段階で解いてみることをオススメします。
⑧ 財務諸表論 重要会計基準(TAC出版)
⑨ 財務諸表論 完全無欠の総まとめ(TAC出版)
ほとんど使わなかったです。たまに辞書的に使っていました。
私が受験した年の簿記論の本試験では、貸し手のリースの仕訳が個別問題で出題されました。
借り手の処理は重要論点なのでどの予備校も抑えていますが、貸し手の処理は一部の予備校でしか扱っていなかったようです。
そんな中、『個別問題の解き方』には貸し手リースの問題がバッチリ収録されていました。
また、財務諸表論の理論では、包括利益に関する問題が出題されました。
こちらも市販問題集には収録されていましたが、大手予備校では扱っていない問題が出題されました。
どちらもおいしく頂きました。市販問題集も侮れないものです。
簿財の独学を考えている方へ
独学の難しいところは、トレーニングメニューや受験戦略を自分で作らないといけない点にあります。
そのためには、合格という目標から逆算して、今何をすべきかを自分で考える力が必要です。
そういう考え方は、まじめに学校に通っているだけではなかなか身につかないものです。
独学で挑戦される方は、「どうすれば合格できるのか?」自分なりの答えを考えてみてください。