役員社宅制度を活用して節税
今回は、法人で活用できる節税対策「役員社宅制度」について、ご紹介します。
役員社宅制度とは?
役員社宅制度とは、「役員の賃貸住宅の賃料を会社が負担することで、その賃料を会社の経費にすることができる」というものです。
役員個人が、自分が住んでいる賃貸マンションの家賃を大家に支払っても「単なる個人の支出」なので節税効果はありません。
これに対して、役員社宅制度を活用すると家賃が会社の経費になるので、法人税の節税に繋がります。
役員社宅制度のメリット
役員社宅制度を活用するメリットは、大きな節税効果が期待できるという点にあります。
会社が大家から家賃10万円で居住用マンションを借りて、それを社長個人(=役員)に毎月5万円で貸しているというケースで、どのくらいの節税効果があるのかを検討します。
会社が大家に支払う家賃
会社が大家に支払う家賃は、会社の経費(地代家賃)になります。
上記のケースの場合、月10万円×12か月=120万円が会社の1年間の経費になります。
会社が社長個人から受け取る家賃
会社が社長個人から受け取る家賃は、会社の収益(雑収入)になります。
上記のケースの場合、月5万円×12か月=60万円が会社の1年間の収益になります。
結局どのくらい節税になる?
上記のケースの場合「地代家賃120万円-雑収入60万円=60万円」が会社にとっての実質的な経費となります。
法人税の実効税率を30%とすると、60万円×30%=毎年18万円の節税効果が生まれ、社長の手取りが増えることになります。
さらに、社長個人が負担する家賃の分だけ役員報酬を減額することで、結果として社会保険料の負担を軽減させることにも繋がります。
役員個人が負担する「家賃の額」はどう決める?
役員個人が負担する「家賃の額」の計算方法は、国税庁が基準を定めています。(参考:国税庁タックスアンサー)
ざっくりまとめると、次のとおりとなります。
☑ 家賃の額を簡易的に計算した場合は、会社が大家に支払う家賃のうち50%が会社の経費になる。
⇒ 手間はあまりかからないが、節税効果は最大化できない。
☑ 家賃の額をしっかり計算した場合は、会社が大家に支払う家賃のうち70%~90%を会社の経費にできる可能性がある。
⇒ 少し手間がかかるが、節税効果を最大化できる可能性がある。
少し手間はかかりますが、国税庁の基準に基づいてしっかり計算することで、より大きな節税効果が期待できます。
役員社宅として認められるための要件
① 家賃の一部を役員個人が負担していること(役員報酬から天引き)
② 役員が負担する家賃の額が適正であること
③ 法人名義で大家と賃貸借契約を締結し、家賃の支払いも法人が行っていること
上記の要件を満たさない場合、会社が負担している家賃が「役員個人への給与」として扱われてしまうリスクがあります。
給与扱いとなってしまった場合は、税務署が認める賃料相当額と役員個人が実際に負担した家賃との差額が所得税課税の対象となってしまいます。
そのため、給与扱いにならないようルールに則って処理することが重要になります。
役員社宅制度は、会社の規模に関係なく活用できるので、積極的に活用したい節税対策のひとつです。
もり税理士事務所では、香川県内、高松市内の中小企業の皆様を対象とした無料相談を行っています。
ご不明な点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。