生前贈与で相続税対策(その②)

2025.06.13

前回は、暦年課税による贈与について説明しました。

今回は、もう一つの贈与の方法である「相続時精算課税による贈与」について取り上げます。


相続時精算課税とは?


相続時精算課税とは、年間110万円(基礎控除)までの贈与なら贈与税も相続税も非課税となり、年間110万円を超える部分は累計2,500万円(特別控除)まで贈与税が非課税になる贈与の方法です。

少しわかりにくいので、簡単な例を使って説明します。


父から子に相続時精算課税で贈与するケース


・2024年 父Aは子Bに時価2,610万円相当の自社株式を相続時精算課税で贈与した。

・2025年 父Aは子Bに現金110万円を相続時精算課税で贈与した。

・2026年 父Aが亡くなった。


2024年の自社株式の贈与について

2,610万円の贈与のうち110万までの部分は、贈与税も相続税も非課税になります。

また、110万円を超える部分については、累計で2,500万円まで特別控除の対象となり、贈与税が非課税になります。

このケースの場合、110万円を超える部分はちょうど2,500万円(2,610万円-110万円)なので、2,500万円全額が特別控除の対象となります。

したがって、贈与税は1円もかかりません

 

2025年の現金の贈与について

110万までの贈与なので贈与税も相続税も非課税になります。

したがって、贈与税は1円もかかりません

 

2026年の相続について

父Aが亡くなったことにより、特別控除の対象となった2,500万円は、子Bの相続財産に加算されます。

つまり、贈与をした時に贈与税はかかりませんでしたが、相続の時に相続税計算の対象となってしまうということです。

なお、「2024年の自社株式の贈与のうち110万円までの部分」と「2025年の現金贈与110万円」は、いずれも基礎控除の範囲内であるため相続財産に加算されません。

したがって、年間110万円(基礎控除)までの贈与であれば、贈与税も相続税もかからないため、非常に有効な節税対策となります。

また、特別控除の対象となった2,500万円は、相続税計算の対象になってしまいますが、贈与時に贈与税の負担なしで子に自社株式を移転できているため、事業承継の手段として有効な方法といえます。


相続時精算課税の適用要件


相続時精算課税で贈与をするには、主に次の要件を満たす必要があります。

① 贈与者(あげる人)は60歳以上、受贈者(もらう人)は18歳以上であること

② 贈与者は父母または祖父母、受贈者は子または孫であること

③ 相続時精算課税選択届出書を税務署に提出すること


なお、一度相続時精算課税を選択すると、暦年贈与には戻れなくなります

したがって、暦年課税と相続時精算課税のどちらを選択すべきか、しっかりとシミュレーションを行っておく必要があります。

次回は、「暦年課税」と「相続時精算課税」のどちらで贈与すべきかについて検討します。

一覧に戻る

ご訪問対応地域

香川県全域(高松市、丸亀市、坂出市、善通寺市、観音寺市、さぬき市、東かがわ市、三豊市、木田郡三木町、綾歌郡宇多津町、綾川町、仲多度郡琴平町、多度津町、まんのう町)
※小豆郡土庄町、小豆島町、香川郡直島町は訪問非対応とさせていただいております。
※訪問非対応地域でもオンラインにて対応可能な場合があります、お気軽にご相談ください。

初回相談は無料です!

香川県内、高松市内での会社設立、個人事業の開業、税理士の変更、節税対策、
相続税申告や相続手続きに関するお悩みなど、なんでもお気軽にお問い合わせください。

メールでのお問い合わせ
メールでの
お問い合わせ
LINEでのお問い合わせ
LINEでの
お問い合わせ
電話電話でのお問い合わせ
電話での
お問い合わせ
会社設立 個人事業の開業 税理士変更 相続税申告